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アレルギー

アレルギー02

 ここでは『アトピー性皮膚炎』についてご紹介をさせていただきます。

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アトピー性皮膚炎

そもそもアトピー性皮膚炎とは?

 アトピー性皮膚炎の皮膚では、皮膚の保護や保湿に役立っている皮脂の成分であるセラミドが少なくなり、皮膚のバリアー機能が低下しています。

 その結果としてアトピー性皮膚炎の皮膚では、アレルゲン(アレルギーを引き起こす原因となる花粉、ダニの死骸やフンなど)や皮膚の黄色ブドウ球菌などが皮膚の表面である表皮を通過し、免疫システムが異物の侵入を察知し対応するために免疫システムがいつも強く活性している状態となっています。

アトピー性皮膚炎の本当の原因は?

 アトピー性皮膚炎の原因や対策に関しても、既にたくさんの研究や書籍がありますが、病気というものが、その人が環境に適応できない時に発生するものであるという視点に立つと、様々な要素が関係してくるために原因を一つに特定することはとても困難になります。

 アトピー性皮膚炎の原因に関しても、遺伝、(心理的、環境的)ストレス、皮膚の状態が大きく影響するのは間違いありせんが、それと同じくらい(もしかするとそれ以上にも)大きな要素となるのが胃腸の状態だと考えられます。これは、小食や断食などにより傷ついた胃腸を修復させることで、アトピー性皮膚炎を含めたアレルギー疾患が改善することなどからも十分に納得が出来ることであり、当研究所でも過食や胃腸を含めた内臓環境の悪化や弱化が根本原因に近いと考えています。

アトピー性皮膚炎はなぜ治りにくいのか?

 アトピー性皮膚炎では、『炎症が原因の悪循環』『乾燥肌が原因の悪循環』が重なるために治りにくいと考えられています。

アトピー性皮膚炎では皮膚のバリア機能が低下している。  本来であれば、表皮の細胞は黄色ブドウ球菌などの細菌の侵入に対して抗菌ペプチドと呼ばれる細菌をやっつける物質を作ることで体を守ってくれているのです。しかし、免疫システムが活性化された状態では、抗菌ペプチドの分泌低下が起こり黄色ブドウ球菌などが常在化し、さらに侵入した細菌が出す毒素が免疫システムを活性化させ炎症反応を引き起こすという炎症が原因の悪循環が発生してしまうのです。

 ただしこれは、免疫システムが活性化された状態において皮膚の外部からの侵入について悪循環を説明したものですが、そもそも『なぜ免疫システムが活性化してしまっているのか』ということも考えておかなくてはなりません。
 異物を除去し、体を守るのが免疫と考えるならば、私たちの体内に侵入してくる異物は皮膚を通じてよりも、呼吸や食事として口や胃腸から取組まれるものの方を無視することは出来ません。胃腸が傷ついたり、弱っていれば、異物はどんどん体内に侵入し、免疫システムは活性化せざるえないのではないでしょうか?

 また、健康な皮膚では表皮まで伸びていないかゆみを感じる『かゆみ神経』がアトピー性皮膚炎によって皮膚のバリアー機能が低下し乾燥肌になると表皮まで伸びて行ってしまうのです。そのために、かゆみに対して敏感になり、わずかな刺激も感知してしまい、かゆいために皮膚を掻きさらにバリアー機能が破壊されるという乾燥肌が原因の悪循環が発生してしまうのです。

アトピー性皮膚炎の対策

 子どもの場合も大人の場合もいずれも大変辛い症状を伴うアトピー性皮膚炎ですが、それでもいくつか改善のための対策のヒントはあるように感じています。

  • 乾燥肌の改善には入浴を活用する

 皮膚の水分量に関しては、入浴後のわずか数分で元の水分量に戻ってしまうと言われています。そこで、入浴後、脱衣場などで肌の水分をタオルでふき取った後にその場でさっさと保湿クリームなどを塗ると効果的に肌の水分を保つことにつながります。

 また、基本的なためにあえて記載する必要はないかとは思いますが・・・入浴時間は10分を目安として長すぎず短すぎないこと。温度も熱すぎないこと。なるべく刺激に強いものは避け、無添加の石けんやシャンプーを利用すること。汚れは、ナイロンタオルなどでごしごしとこすって落とすのではなく、しっかり泡立てて泡で汚れを落とすようにしてあげること。などに関しても改めて見直してみてください。

 これらのアドバイスと言うのは、アトピー性皮膚炎に限ったことではなく、素肌を大切にする女性が行っていることや赤ちゃんに対して行っていることと同じですよね?

※追記(2011/06):
傷はぜったい消毒するな 生態系としての皮膚の科学 (光文社新書)  私もそうだったのですが、体を清潔に保つために、石けんやシャンプーは必要と思われているかもしれませんが・・・どうやらそれは思い込みのようだということに気付かされました。『皮脂を含めた皮膚の状態管理は実に適切にコントロールされており、石けんやシャンプーなどを利用しなくても温水で洗い流すだけで十分』だというのです。
 まさかと思われた方、『傷は、絶対に消毒するな』を一度読んでみてください。
 恐らく目からウロコだと思いますが、この本の内容は実際に自分の体で試してみると納得が出来るかと思います。自分の皮膚に対する思い込みを見直すのに、最適な本だと思います。


  • 初期であればステロイド剤の有効活用を検討する

 海外のことまでは良く知りませんが、日本ではまだまだ『ステロイド=悪』のイメージや認識が強く、『ステロイドを使わなくなる=アトピーが治る』や『ステロイドを使わない方法=体に良い』というように認識されているようなところが多くありますが、この単純化しすぎた認識に捕らわれるのにも注意が必要です。

 間違っても、慢性化しているアトピー性皮膚炎に関して積極的にステロイド剤を有効活用するようなことは勧めません。しかし、免疫やアレルギーについて研究が進むにつれて、アトピー性皮膚炎ほど初期治療・介入が重要なアレルギー疾患はないということが、定着しつつあります。わずかなステロイド剤の副作用を恐れて使用をためらっているうちに重症化して、結果的にステロイド剤の利用が多くなることは避けたいものです。(※私も当初は、自然な暮らしや自然療法こそ良いものであり、体にも優しいと考え、薬=悪とういような考え方が強くありました。しかし、最近は少し考え方を改め薬であれ何であれ、上手く利用できるものは有効活用して良い結果を出すためにどうすると良いかを考えるようにしています。)


  • かきグセの日記療法を試してみる

 慢性化したアトピー性皮膚炎では、自分の皮膚をかいて傷つけてしまうことが無意識つまり条件反射のようになっている方も多いと思います。そのような場合には、身体をかくたびに『どこを、それくらいかいたか』を記録(ノートでも携帯電話のメモ帳にでも)することで、意識化して自分の癖を改善して行く方法もあります。


  • 赤ちゃんには『アレルギー用ミルク』や『おくるみ』,『おんぶ』の検討も

アトピー性皮膚炎に限らず肌に優しいことを考えてみること(肌のお手入れ、睡眠、食事など)  どうしても、どうしても母乳育児が出来ない状況でミルクを利用して赤ちゃんにアトピー性皮膚炎が出ている場合には、アレルギー用ミルクの利用を検討してみる価値はあります。しかし、母乳とミルクではやはり根本的に異なります。根本解決にはなりませんが、緊急対策には成り得るので検討してみてください。

 また、赤ちゃんは夜や寝る時のかき癖がひどくて、見ていられないということもあるかと思います。赤ちゃんがかゆくて体をかきまくるのは、親として本当に辛いものです。そんな時には、『おくるみ』と『おんぶ』を試してみてください。(※それと必要に応じて『ミトン』も。)
 『おくるみ』と『おんぶ』には2つの効果があります。

  • ・1つは、赤ちゃんが自分で身体をかけなくなること。
  • ・もう1つは、赤ちゃんが良く寝るようになること。

 おくるみを利用して寝かす時に身体を縛り付けるのは、不自然と思われるかもしれませんが、これは先人の知恵であり、日本に昔からある赤ちゃんを寝かしつける方法なのです。赤ちゃんが布にくるまれて動きの自由をなくすことで、子宮内にいた時を思い出し、安心することによって眠りやすくなると考えられています。
(※参考記事:寝ないベビーには『おくるみ』が効果アリ!/All about

 個人的な感想としては、『おくるみ』よりも『おんぶ』の方が、赤ちゃんは良く寝てくれるという実感があります。親にとっては、赤ちゃんがぐずっている時や夜中におんぶすることなどは、正直少し大変なことです。おんぶの大変さ、私もよーく分かりますが、産後一番役立ったものは、おんぶ紐かもしれません。赤ちゃんも人の温かさが伝わるときっと安心するのでしょうね。

 実際に私の親しい友人夫婦は、ミルクをアレルギー用に変えることと、おくるみの利用、赤ちゃんが汗をかいたらシャワー、そしてなるべく赤ちゃんを裸で過ごさせるようにすることで2ヶ月ほどで大きく状況が改善されました。


 いくつかヒントを紹介させていただきましたが、それでも上記の対応によってアトピー性皮膚炎が根本的に改善する人は、それ程多くないかもしれません。それは、多くのアトピー性皮膚炎の本当の原因がやはり別のところにあると考えているためです。

 アトピー性皮膚炎が異物としてのタンパク質を排除しようとする免疫システムの活性状態であることを改めて思い出してもらうと納得してもらえるかと思いますが、日常生活において私たちの体内に侵入してくる食べ物(まさにタンパク質の固まり!)を無視するわけにはいかないのです。
 これまでにもずいぶんとたくさんの自然療法や免疫力を高める食事方法や健康法などについても学び、実際に自分の生活で実践した経験から分かるのは、これらの方法にはやや極端なものや人間の食欲を無視したものや、現実的に継続が困難なものが多くあるということです。しかし、それらの多くが意図していることは共通することがあり、それこそがアトピー性皮膚炎においても根本解決の一つにつながっていると今の段階では強く確信しています。その方法とは・・・・

  • (弱った)胃腸を元気にしてあげること。

胃腸を冷やさず、腹八分目で、日本人にあった食事を心がける。

 具体的には、・・・

  • 冷たいものを出来るだけとらない
  • 一口一口丁寧にたくさん噛んで食べる

 一口の量を減らして、30〜50回/口を目安に!!
これは結果的に小食や胃腸に負荷をかけないことにもつながります。
(※参考:「医学が認めた!食欲をコントロールできる技」


  • 玄米菜食中心の和食

 玄米でなくてもお米をたくさん食べることが排便につながります。
また、納豆や梅干などが腸内細菌のバランスを整えることに関与しています。


とにかく実践すること、継続することです。

アトピー性皮膚炎の改善には食べること、胃腸が大きく関係しています。  細かいことや効用などをくどくど説明するつもりはありませんが、大切なのはアトピ―性皮膚炎に限らず、健康や体調を崩している時には、胃腸の状態が良くないということをまず自覚することが大切です。

 それから、食事というのは基本的には胃腸に負担をかける行為でもあり、エネルギーを消耗するということ。弱った胃腸を回復させるには、段階的にでも構わないのでとにかく食べる量を少なくして、溜まりがちになっている腸の中のものを出すことに専念することです。(※排便については『排便と便秘』を参考にしてみて下さい。)

 この当たり前のことを実践すると、まず自分のうんち=便通が変化することにすぐ気が付くと思います。これまでは、便秘がちだった人や匂いがきつかった人が、自分のうんちの変化に一番驚かれるでしょう。

 肉や魚を食べるなとか、甘いものを食べるな、などの極端なことは言いませんよ。なぜなら、人間というか動物の根源的な欲求の一つである食欲を無理に押さえつけたり、無視するようなことは結局は長続きもせず、上手くいかないでしょう。

 大切なことなので、もう一度だけ繰り返しておきます。玄米でなくても構いません、ご飯を中心とした和食を良く噛んで、腹八分目を目指して食べる量を減らして行くこと。(※ファーストフードやスナック菓子などの「油」が多く含まれるものを減らしていくことも当然含まれます!!)
 結局はこれが普段の食事を丁寧にそして大切にすることにつながって行くはずです。

 大人の慢性化してしまっているアトピ―性皮膚炎は生活習慣病と言ってよいかもしれません。規則正しい生活をしている人に、アトピー性皮膚炎の人は恐らくほとんど見つからないでしょうから。だからこそ、あやしい民間療法やサプリメントを含めた健康食品などに頼らず、何も特別なことをしなくても、普段の生活を丁寧にすることで時間をかければ自分の元の身体と健康は取り戻せるのです。

アトピー性皮膚炎の改善には食べること、胃腸が大きく関係しています。  当研究所では、腸内環境を整えるために腸を含めた内臓の活性化により免疫力を高めるといった手技療法(内臓への手当/マニュピレーション)と、脳・ココロ・身体のマッピングをテーマにした自分にあった(ストレスの原因を理解した上での)ストレスコントロールの方法を学んでいただくのが中心になります。

 しかし、胃腸の修復と活性化に加えて、本当に大切なことはストレスコントロールの方法をや規則正しい食生活(快眠・快便・快食)そして笑いや笑顔だと考えています。

ステロイド剤について

 ステロイド剤については、副作用があることは事実でありこれはしっかりと認識しておかなければなりません。しかし、副作用の悪いイメージばかりが先行して、不安や恐怖がさらに不安や恐怖と言った間違った認識につながりかねないので注意が必要です。
(※薬学に関する専門知識が十分でないために、一般的な内容に留まってしまいますがお許し下さい。)

 ステロイド剤の副作用の一つとして『ステロイド剤を長期使用により、人間が元来持っている副腎皮質からのステロイド生産能力が低下する』ということが一般的に知られています。これは少し考えてもらうと分かるように、筋肉でも脳でも使えば使うほど発達するが、使わなければ衰えるという原則にあてはめると、外部からステロイドが体内に入り続けると、本来ステロイドの生産を担当する副腎皮質の機能は低下するのはやはり当然の結果だと言えます。

※注意:確かにステロイド剤を外用で初めて利用する場合には3ヶ月以内であれば不可逆的となるような副作用の影響はないということが『日本皮膚科学会アトピー性皮膚炎診療ガイドライン』にも書かれています。しかし、3ヶ月以上に関しては安全性や副作用についてはやはり述べられていないことには十分注意が必要です。)

 ステロイド剤の副作用は、ほとんどの場合が長期間使用することによって発生するものです。副作用が怖いからと言って、弱いステロイド剤をだらだらと長期間使用して、結果的に使用する総量が多くなり副作用につながってしまうケースも多くあるようです。

 ですから、ステロイド剤の使用に関しては、多くのアトピー性皮膚炎において、ステロイド剤が現状では一番効果的な薬であることを認識した上で、短期決戦(※初めての利用で3ヶ月!)を念頭において、上記で紹介した胃腸を健全化させる生活習慣の改善に全力で取組むことです。
※注意:当研究所ではステロイドの使用を積極的に進めるわけではありません。また、副作用の責任も取れませんのであくまでも利用に関してはかかりつけの主治医と相談しながら個人で判断をして下さい。)

 繰り返しますが、ステロイド剤の利用においては、短い期間で症状を抑えて、その後はスキンケアと胃腸を健全化させる生活習慣の改善に重点を置くのが大原則です。ステロイド剤を使用する際には、基本中の基本のはずだけれども忘れてしまっていることが多いと思われる以下の点に注意してみてください。

『ステロイド剤を利用する際の確認事項』

  • 症状にあわせた強さのステロイド剤を使うこと。
  • 炎症が抑えられたら、スキンケアで肌を保護し、毎日連続して使わない。
  • 不必要に使い続けない。

アトピー性皮膚炎に関連した参考サイト

 慢性化してしまったアトピー性皮膚炎を完治された体験談のHPも多くありますが(情報の質もピンキリ)、体験談というものはあくまでも個人の体験でそれがそのまま多くの人の参考になるかどうかは分かりません。
 しかし、このサイトは個人的には非常に参考になると思っています。本気でアトピー性皮膚炎の改善に取組まれる人は参考にしてみてください。

 また、アレルギー体質が増加するに伴い、赤ちゃんのアトピー性皮膚炎も増えています。これは、子を持つ親としても本当につらいというか、大変であろうことがよく分かります。赤ちゃんや子どもにステロイド剤を使用しないことにこだわりたい方には、このサイトを参考にしてみて下さい。
 自分の子供がアトピー性皮膚炎であったなら、今ならステロイド剤を使用した短期決戦(※繰り返しますが初めての使用で3ヶ月以内です。)と合わせて、胃腸への手当てやマッサージなどを徹底して行うと思います。
(※参考:離乳食を早くから積極的に与えるようなことも決してしません。離乳食を始める目安は、歯が生え出した時と赤ちゃんの食べ物への関心の度合いです。)

 アレルギーに関しては、次が最後のページになります。
 『アレルギー03(ぜんそく,アレルギー体質の改善,おすすめ書籍)』にお進み下さい。

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