HOME > 学びの部屋 > アレルギー03:ぜんそく,アレルギー体質,おすすめ書籍
アレルギー

アレルギー03

 ここでは『ぜんそく(喘息)』、『アレルギー体質の改善』、『アレルギーに関連したおすすめ書籍』について紹介をさせていただきます。

●アレルギー01
●アレルギー02
●アレルギー03

ぜんそく(喘息)

ぜんそく(喘息)と衛生仮説

 ぜんそく(喘息)とは、炎症(※専門用語を交えて表現すると、普段は血液中にいる白血球が組織に染み出し、酵素を撒き散らすことによって、身体に侵入した微生物やアレルゲンなどの異物だけでなく、自分の身体の組織も破壊している状態です。ぜんそくには遅発反応と呼ばれるものがありますが、この時には白血球の中でも好酸球が大きく関与しています。炎症は治癒過程の一つでもあるために、慢性的な炎症で無い限りは、それ程怖れるものでもありません。)により気管支などの呼吸の通り道(気道)が狭くなり、また気道の粘膜が傷つき、知覚神経がむき出しになりさまざまな刺激に対して過敏になっている状態のことです。

 ゼーゼー、ヒューヒューなどの呼吸困難を伴う症状が特徴です。小児、成人を問わずに患者数が年々増加傾向にあることや、小児喘息の多くと成人喘息の約半数がアレルギー反応としての喘息であるは、アレルギー体質の人が増加していることと無関係ではないと考えています。

衛生仮説 アレルギー体質には幼少期が関与  これまでに何度も登場してきたアレルギー体質という言葉ですが、実は子どものころ(※3歳くらいまで)にアレルギー体質かどうかが決まるといわれています。その根拠となっているのが衛生仮説です。
 衛生仮説とは、簡単に説明すると子どものころに環境が清潔過ぎて細菌やウイルスと接触する機会が少ないとリンパ球の中の2型ヘルパーT細胞の割合が多くなり、アレルギー体質となりやすいというものです。(※ただし、ここでも注意が必要で、ダニが原因となる子どもの喘息予防に関しては、ダニ除去に関連するダニ防止寝具カバーなどの利用が有効であるという報告もなされていることです。)

 衛生仮説がぜんそくやアレルギー疾患の全ての原因を説明してくれているわけではありませんが、個人的には大切な視点であることに間違いはないと考えています。それゆえに、アレルギーの発生予防のためには、乳幼児は清潔すぎない環境つまりはある程度土ぼこりなどに接触することで細菌の成分であるエンドトキシンなどと普段から接しておくことが大切になります。

 エンドトキシンや衛生仮説などと言うとなんだか身構えてしまうかもしれませんが、結局は子供の時から自然環境の中で過ごす時間を大切にしましょうということと変わりはありません。子供の時には、田舎で育ち外で遊んでいたにもかかわらず、大人になってからぜんそくを発症した方も今の生活が冷暖房完備の自然からかけ離れすぎた生活となっていないかどうかを見直してみることは、とても役立つはずです。

 なぜなら、人間は過酷な自然環境を克服して生存/進化してきたとはいえ、人間の身体の仕組みや土台は、屋内ではなく野外で身体を動かすこと前提として設計されているためです。ずいぶんと快適になったとはいえ、私たちは自然環境や動物としての歴史を無視することは出来ないのです。

アレルギーマーチとしてのぜんそく(喘息)

 『アレルギーマーチ』という言葉を聞いたことはありますか?
 これは、アレルギー体質の人において、年齢の変化とともにアレルギー疾患が次から次へと発生してくる様子を表現したものです。よくある具体的なケースとしては、乳幼児の時にアトピー性皮膚炎や食物アレルギーだった子どもが、これらの症状が良くなったと思っていると学童期に今度はぜんそく(喘息)と診断され、喘息が良くなると小学校高学年から花粉症になるという具合です。

 アレルギーや免疫と関係の深い免疫細胞である白血球の割合なども年齢の変化とともに変わることが分かっています。そのために、乳幼児や学童期にアトピー性皮膚炎や食物アレルギーやぜんそく(喘息)だったとしても、これらの症状が今後も続くわけではありませんが、アレルギー体質であることをしっかりと認識して体質改善を含めた普段の生活を気遣うことは大切です。

(※親御さんに注意していただきたいのは、子どもに向かって『あなたはアレルギー体質だ』、『あなたは体が弱い』などを言い続けてしまうと、子どもは『自分=アレルギー体質』、『自分=体が弱い』という認識を強めてしまい、ますますそのとおりに無意識に自分を縛り付けてしまい結果としてその状況が強化されていくという負のサイクルがありますので、その辺りは十分に注意してください。言葉の暗示にはくれぐれもご注意を!!

 ですから、今ぜんそく(喘息)でお困りの場合には、今後症状が慢性化してしまうことや、花粉症につながることがないように、早めに普段からコツコツと対応を行うことが大切です。

リモデリングを起こさないために

 ぜんそく(喘息)において一番困るのは、症状が慢性化してしまうことです。その理由は、症状が慢性化すると気道は簡単には元に戻らなくなる不可逆的な組織変形(※これを気道リモデリングと呼ぶ)を起こしてしまうからなのです。
(※既に述べたように、ぜんそくの遅発反応には白血球の成分である好酸球が関与していますが、好酸球の分泌成分によって気道粘膜上皮の周辺の線維化や平滑筋の増殖が促されるため、気道の内部が物理的に狭くなってしまうのです。)

 ぜんそく(喘息)に限らず、アレルギー疾患の症状が見られた場合には、早めに専門機関を受診して、病院や医療を上手く利用しながら、自分なりに原因と対策を考えて実行してみることが大切です。子供の喘息予防のためには、ダニ除去につながるダニ防止寝具カバーを検討するのも一つの手です。食物アレルギー、花粉症、アトピー性皮膚炎などではあまり強調しませんでしたが、ストレスについても無視するわけにはいきません。

 子供のぜんそく(喘息)の場合には、親の過保護や過干渉などのために、

  • 子供が我慢をすることがストレスになっていないか
  • 子育てや育児に無理が生じていないか

ぜんそくに限らず子供の病気にはストレスが大きく関係している。 を見直すことも大切です。
 また、大人の場合にも、普段の生活で自分がどのようなストレスや我慢を感じているのかをしっかりと認識する作業を始めること、現実と向き合うことが症状を慢性化させないことにつながる場合が多くあります。

アレルギー体質の改善

アレルギー体質を決めるもの

 免疫学の研究は発展が著しいのは良い反面、細部に焦点が当りすぎて本質から遠ざかってしまうことには常々注意をしておかなくてはいけません。
 それらを踏まえた上で、現時点で共通認識となりつつあるのは、アレルギー体質かどうかを決めるのは、3歳くらいの乳幼児期であること。そして、免疫細胞であるリンパ球の1型ヘルパーT細胞(※特にウイルス感染と関係しB細胞にIgG抗体を作らせる)、2型ヘルパーT細胞(※アレルゲン情報と関係し、B細胞にIgE抗体を作らせる。この細胞が増えるとアレルギー体質になりやすい)、炎症性ヘルパーT細胞(※細菌感染と関係している)、抑制性T細胞の4種類の勢力争いと、これらのリンパ球と顆粒球(※好酸球や好中球など)の割合によって最終的に体質が決まることが分かるようになってきました。

 体質は遺伝か環境どちらの影響が大きいかがよく問われますが、生物の基本設計はやはり遺伝で大枠が決められた後に、環境条件によって修正と調整が行われることに違いはありません。それゆえに、アレルギー体質を遺伝としてあきらめるのではなく、環境条件つまりは日常生活を調整することで改善できることをしっかりと理解しておくことが役立ちます。

アレルギー体質改善の前に

 アレルギー疾患の根本対策としては、体質改善が有効であることを繰り返し説明をさせて頂きましたが、もしかすると体質改善という言葉に嫌気を感じている方もおられるかもしれません。しかし、体質改善の前にそもそも『なぜ病気になるのか?』ということや、『ココロと身体はどのように関連しているのか?』ということを(真実や本当のところはなかなか分かりませんので)とりあえず自分なりに理解しておくことが大切だと考えています。

 そこでまず少しだけお伝えしておきたいのは、心身一如という言葉が示しているとおり、私たちのココロと身体は切り離して考えることは出来ないということ。そして、遺伝などの先天性のものを除き、子供から大人まで私たち人間は(自然環境と社会環境を含めた)環境に適応できない時に、ココロや身体がストレスを感じることが病気を作り出すということです。
(※もう少し詳しく知りたい方は、『人はなぜ病気になるのか(病原環境説)/吹上共立診療所』をご参考下さい。)

 それゆえに繰り返しになりますが、普段の生活において『何が障害やストレスとなり、結果として我慢や不快を感じるようになっているのか』に目を向けること、向き合うこと、自覚することが大きな意味を持ちます。

日々の取り組み

 それでは最後にアレルギー体質の改善のために毎日の生活の中で無理せず実践できることを紹介させて頂きます。

  • 快眠、快食、快便がまずは基本
  • 口呼吸を止めて鼻呼吸を習慣とすること
  • 腸内環境を整えること※1
  • 外で身体を意識的に動かすこと※2
  • 気持ちいい/心地いいを感じていること
  • 毎日の生活に感謝と笑いを取り入れること

※1:具体的には『アトピー性皮膚炎の対策』を参考に。
※2:まずは散歩で十分。1日30分の散歩から取り組んでみること。

 これらの項目を読まれてどのように感じられたでしょうか?

アレルギー体質の改善は丁寧な暮らし、笑顔のある暮らしに他なりません。  あまりにも当たり前だったり、目新しさが無かったり、普通のこと過ぎてがっかりとされる方がおられたかもしれません。でも、本当にこんな些細な、当たり前のことを継続するだけで体質は少しずつ変わってくるのです。

 しかし、一人で継続するのはなかなか大変なことかもしれません。だからこそ、そんな時には頼れる専門家、信頼できる専門家と一緒になって取り組むところに私たち手技療法家の役割や存在意義の一つがあると考えています。

 アレルギー体質の改善に関して、花粉症が流行りだした頃に『ヨーグルトを食べると腸内環境が良くなり効果がある』などと言われていたことがありました。私も、当初はその仕組みがよく分かりませんでしたが、アレルギーや免疫の仕組みを改めて学びなおすことにより、ヨーグルトや納豆などの発酵食品を腸内に取り入れることで、アレルギー体質に関与している免疫細胞の勢力分布が調整されることで症状が緩和されていくことなどを納得出来るようになりました。

 アトピー性皮膚炎やアレルギー体質に関しては、商売と関連付けどんどん目新しいようなサプリメントや健康管理用品などが出てくることでしょう。しかし、そんな情報や商品に振り回されなくても、メカニズムを理解し、普段の生活を丁寧に、そして出来る範囲で日本人の食生活に戻していくことでアレルギー体質の改善も十分可能なのです。(※恐らく今後も納豆や粗食などの効用がどんどん明らかになってくるでしょう。)

 アトピー性皮膚炎の項目で紹介をさせていただいたHPの管理人の方の言葉が忘れられません。「アトピーは『治そう!』と思って治せる病気なのだ。」と。

 多くの人をみていて、改めて本当にそうだと思います。無理なことは長続きしませんが、出来る範囲で、出来ることから、アレルギー体質の改善に取り組んでみて下さい。一人では継続するのがどうも大変だと感じられておられるようでしたら、そんな時には当研究所にご相談下さい。『自分で癒す体とココロ。できることから、始めよう』それが一緒に取り組ませていただく時の合言葉です。

アレルギーに関連したおすすめ書籍

 HPを作成する時に参考にさせていただいた書籍のなかでも特に参考になるものをご紹介させて頂きます。

 マンガを利用してアレルギーについてとても分かりやすく教えてくれます。難しい内容がきらいな方におすすめです。ただし、『ステロイドの外用による副腎皮質の機能低下という副作用はおこらない』というような誤解を招きかねない表現もあるので十分に注意が必要です。


 口呼吸が全ての原因というのは無理があるかとは思いますが、アレルギー体質の改善と健康な身体の作り方にはとても役立ちます。お金をかけずに自分でできるこの方法をまず2ヶ月、淡々と実践されてみて自分で判断をしてみてください。


 少し専門的な傾向が強いですがいろいろと勉強になります。アレルギーの仕組みや免疫にアレルギー反応を示さなくなった方におすすめします。


 断食で有名な西式甲田療法の故甲田先生による人体実験の記録です。養護教諭や他大学の研究者も参加したこの評価はとても貴重です。体験談も多く載っておりますが、『好きなものを好きなだけ食べてアレルギー疾患を治す』というよな都合よい方法など結局は無いことに気付かされます。
 甲田先生が亡くなられる最後の数年を甲田医院で働いていた知人がいます。更に詳しことなどを聞きたい方はご連絡下さい。


 ここまで読んで頂き、本当にありがとうございました。

 アレルギーや免疫に関しては、研究と発見が目覚しい分野の一つです。現在の『常識』が『非常識』に変わることもあるかもしれません。なるべく情報に振り回されなくてよいように気を配り、本当に大切と思うことを中心にまとめてみました。
 何かの参考にして頂ければ幸いです。
 また、お気付きの点、お役立ち情報などありましたらご連絡下さい。(2010.07)

↑このページのTOPへ