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つくし助産所の思い出

なぜ助産院?

 現在の出産は90%以上が病院や診療所で行われており、助産所や自宅出産は1%に留まっているにも関わらず、何故私達夫婦が助産所でのお産を選んだのか?
(※参考情報:『お産を取り巻く現状』

分娩台よ、さようなら―あたりまえに産んで、あたりまえに育てたい  それは1冊の本との出会いでした。
『分娩台よ、さようなら』この一見過激なタイトルの本がお産を取り巻く状況や本当のことを色々と教えてくれたように思います。興味ある方は、是非一度読んでみて下さい。

つくし助産所に決めた理由

 その後いざ助産院を探し始めたのですが・・・そもそも助産院はそんなに多くありませんし、助産院と行っても基本は個人経営のために、方針や雰囲気そして、内容などは全く異なりました。
 最終的につくし助産所の助産師である柄山さんに私達がお願いしようと決めた理由は、『黒子のようにさりげなくサポートに徹するのが助産師の役割』という柄山さんの基本的な方針と、『なんとなく安心/信頼でき、良い感じで進められそうだ』という直感でした。

 敢えてこれだけは伝えておきたいのは、実際に自分達で色々と訪問してみて、自分達の好みに合う助産院や助産師さんに巡り会うのがやはり大切ということです。もちろんそのためには、自分達は何が好きか?どうしたいのか?ということがはっきりしている必要があります。

お産までと実際のお産

 一般的な妊婦健診に加えて、つくし助産所で開かれていた妊婦ヨガ教室などを通じて、妻は柄山さんとの信頼関係を作り上げて行ったようですが、私は2,3回お話を一緒に聞きに行った程度でした。しかし、いつでも訪問・相談可能という雰囲気がとてもありがたかったです。
 妊娠後期に妻が階段で足を滑らせ、骨折をしたのですが、その時にも親身になって整形外科の紹介や付き添いなどもしていただき、とても助かりました。

 実際のお産はほんとに静かなものでした。私と妻と柄山さんの3人だけ。立会い出産の予定ではありませんでしたが、その場の成り行きでというか、妻の希望で立会いを行うことになりました。お産の進め方については、事前にこちらの希望もきちんとお伝えしてあったので、特に何も変わったこともありませんでした。

 一番うれしかったのは、初産にも関わらずそれ程時間がかからずお産がスムーズに進んだために、妻と赤ちゃんの体に負担がかかることが少なく産後二人が元気だったことです。

 育児に比べるとお産などはそれ程大変なことではないのかもしれません。しかし、これから始まる育児を母子ともに良い心身の状態で始められるというのは、実はとても大切なことかもしれないと改めて感じています。

振り返って思うこと

長男は助産院で生まれました。  まずやはり助産師の柄山さんに感謝です。快適な状況を作り出していただき、さりげないサポートを継続していただいたことに感謝しています。それから、お母さんと赤ちゃんに優しい『自然なお産』がもっと多くの人に理解してもらい、広がれば良いのになと思います。

 後で分かったことですが、助産院でのお産は、もしかするとある意味条件が厳しいのかもしれません。というのは、母子が条件を満たしていないと受け入れてはくれないためです。(これには、ただでさえその存在が稀になっている他の助産師や助産所に迷惑がかからないように、お産に関わるリスクを出来るだけ少なくしたいという助産師さんたちの想いもあるようです。)

 しかし、夫婦がお産を自分達のものとしてしっかりと認識して妊娠期間を過ごせば、受け入れを拒否されることは、ほとんど無いと思います。自己管理という努力もせずに優しいお産や自然なお産だけを求めるのは、やはり間違っているように思うのです。

 最後になりましたが、信頼できる助産師さんと自分達の希望するお産のあり方に添って、完全プライベートとも言えるような対応をしていただける助産院でのお産というのは、本当に贅沢なことだと思います。つくし助産所は、そんな贅沢をさりげなくかなえてくれる数少ない場所なのかもしれません。
 男の私があれこれ書いても仕方が無いので、最後に妻の感想を追加しておきます。

実際にお産を体験して

 助産院での出産は本当によいお産でした。職業柄、病院のお産を見たことのある私は自分が出産するなら絶対所産院がいいなと思っていました。お産というのは今ではとても医療に任せられている部分が多いけれど、本来持っている女性の本能をしっかり使えばもっと自然で楽なことのように思います。

 実際お産をしてみて、命の誕生というのはとても神秘的だけど日常生活の延長線上にあるものなんだと感じました。女に産まれてお産を経験できるなんてとても幸せ、女でよかったなあとつくづく幸せを感じました。

 助産院では妊娠中から体の管理についていつでも相談に乗ってもらえたことがとてもありがたかったですし、1人の助産師さんが継続的にフォローしてくれるというのはとても安心感があり、それがリラックスした楽なお産につながったのだと思います。

 お産も日常生活のごく一部のように、普通に部屋で私と夫と助産師さんとの3人で静かに進んでいきました。分娩台はなく会陰切開もありません。それでも元気な赤ちゃんは産まれてくるのです(もちろんお産までの健康管理が大切なのと赤ちゃんの状態にもよるのですが)。入院中も毎日丁寧に私と子どもを見て下さり、体のことだけでなく精神的にもたくさんケアしてもらって、とてもいい産後を過ごさせてもらいました。おかげですんなりと楽しい育児に入っていけたと思っています。

無理をしない自然な妊娠・お産・子育てをサポートしています。  お産は自分の体や心を見つめなおすとてもよい機会であり、普段から支えてもらっている家族のありがたみを再確認しました。こんな幸せなお産が増えれば、もっと日本に子どもが増えるんじゃないかと思いました。現に私はまた次のお産がとても楽しみです。

自然なお産や自宅出産は良いですよ!

 自然が全て良い、などと言うつもりはありませんし、現在の医療を否定するわけでもありません。しかし、『お産とは?』『安産とは?』を考え始めると、必ずヒトの歴史や日本の文化に目を向けることになります。そして、そこには現代における合理的でありながら自然なお産というものがやはり存在するように思うのです。

 助産所(助産院)での出産や自宅での出産というと、何だかハードルが高いと思われるかもしれませんが、妊娠中のちょっとした努力と意識改革があれば、ずいぶんと身近で現実的なものになります。
 お産は自然の営みであるために、絶対確実・絶対安心などということはありえません。しかし、全てを受け入れる潔さや覚悟が出来た人のみが知っている、助産所(助産院)や自宅出産での幸せを一人でも多くの家族が経験できると良いなと思います。

 ここまで読んで頂き、ありがとうございました。

 もしよろしければ、、引き続き私たちの2人目の『自宅出産体験記』も参考にしてみてください。

 当研究所では、妊婦さんのやわらかい心と身体作りにも参考になるような『身体と楽を感じる体操教室』も月に1回開催しています。興味を持たれたら、ぜひご参加ください。また、『自然なお産(安産)と子育て応援コース』もありますので、妊娠期間中の体調管理をきちんとしておきたい妊婦さんにはおすすめです。

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